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【はぐくむ・つながる・こどもとおとな】第30話 アタッチメント(愛着)ってなに?

2024.05.27 #はぐくむ・つながる・こどもとおとな #子育て

湘南ママたちから絶大な人気と信頼を誇る、認定子育てアドバイザーの宗藤純子先生の子育てコラムです。今回は、子育てにおける「愛着」についてのお話です。

みなさんは、子育てにおいて「愛着」という言葉を聴いたことがありますか?

「愛着」は保育士や幼稚園教諭、心理の専門職の方は学んだことがあると思います。
実際、私も保育者養成短期大学の授業において、「愛着」について学生達と共有したばかりです。この「愛着」は幼い子どもの発達においても重要であると心理学の世界でも研究され、愛着理論として、イギリスの精神科医のジョン・ボウルビィ(1907~1990)が提唱されています。ボウルビィは、施設に収容されたこどもたちの心理的な治療や、第二次世界大戦の戦争孤児たちの研究などでよく知られています。

「愛着理論」は「愛着」を意味する「アタッチメント(attachment)」を用いて、「アタッチメント理論」とも呼びます。「アタッチメント(attachment)」の意味は「くっつく」ということです。

愛着(アタッチメント)と愛情の違いとは?

長年、アタッチメント(愛着)について研究をされてきた、心理学者の遠藤利彦氏によれば、

「愛情と愛着は受ける印象が似ていますが、その意味は違います。
愛情は「特定の他者にむかい、その他者とつながれることを喜びとする」気持ちを指しますが、「アタッチメント(愛着)は特定の他者とくっつくこと」を指します。しかも、いつでもどこでもくっつくことではありません」(著書「赤ちゃんの発達とアタッチメント」ひとなる書房より)

アタッチメント(愛着)とは?

アタッチメントとは「ある人物が特定の大人(他者)との間に結ぶ情緒的な絆のくっつき」であり、このくっつきは、子どもが何らかの危機に接したとき、あるいは危機が予想されたときにうまれる恐れや不安な感情を、特定の他者にくっつくことで調整しようとする欲求です。例えば、赤ちゃんや子どもが、歩き始めの子がヨチヨチ歩きで進んでチャレンジをしていく際に、安定せずに転び、大泣きすることも起こります。この時に、特定の信頼できる大人に駆け寄って助けてもらうことや、信頼できる特定の人のもとに泣きながら戻り「ああ、ここはだいじょうぶ」「ここに行けば安心」という確実な避難場所の「安全基地」があれば、その子は安心して泣き止み、安全基地から赤ちゃんはまたチャレンジして歩き始めることができるのです。こうした当たり前の繰り返しが、挑戦する力、忍耐力などの非認知能力を養うといわれています。

こども家庭庁は昨年決定した「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン(はじめの100か月の育ちビジョン)」でも、アタッチメントの重要性にについてふれています。

(こども家庭庁より引用)

赤ちゃんにとって、自分が困ったとき、いつも無条件にあたたかく助けてくれる特定の人がいるということを「くっつき」の関係性から体験を繰り返し経験するなかで、自分という存在が大事な存在であることも肌で感じていくといわれ、「安心感の輪」といわれる図からも理解できると思います。

図:「赤ちゃんの発達とアタッチメント」ひとなる書房より参照

5月にNHKでも「NHKスペシャル」「あさイチ」「すくすく子育て」の3番組では、“子どもの幸福度に影響を与える”といわれる「アタッチメント」について共同で取材し、それぞれ異なる視点から放送されました。

[NHKスペシャル] 良好な人間関係の土台となる”安心感” | アタッチメント “生きづらさ”に悩むあなたへ | NHK (youtube.com)

子どもにとっての安全基地に

子どもにとって助けてくれる特定の大人は「一人」ではありません。母親だけが、アタッチメントの存在になりえると思われがちですが、子どもは複数の大人を「自分を守ってくれる特別な存在」ととらえることができるそうです。70年代のアメリカの研究では父親も子どもとアタッチメント関係が築けることが立証され、その後の研究で、祖父母や血縁関係のない親、園の保育者などの養育者ともアタッチメント関係が築けることがわかってきたそうです。

乳幼児期の心の土台を築く時期のアタッチメントは、特に大切であるといわれています。

大人は先ゆく人なので「何かしてあげないと」「やってあげないと」と先回りをして、過剰に働きかけ、言いすぎてしまいがちです。子どもが挑戦していくことを見守り、困ったときにその求めにすばやく応じてあげることがその子の安心につながります。そして、どうぞ、安心してもどれる安全基地でいてください。

―――筆者紹介 ―――宗藤純子(むねとうじゅんこ)


藤沢市在住約30年。幼稚園教諭・保育士・子育て・家庭教育アドバイザー
帝京短期大学こども教育学科非常勤講師
【詳細】
・乳幼児期から思春期までのこども・家庭教育・支援に約30年以上従事。産前産後からのあたたかなまなざしとふれあいと絵本を通じて「肌と心へのタッチ」の大切さ。子どもは「ひとりの人」であることを伝え続ける
・「子育ては個(性)育て。己育ち」人間教育を軸に行政・企業/NPO・PTA家庭教育主催講演講座、教育現場・子育て支援での保護者向け勉強会など講演講座も多岐にわたり多数。2009年より幼小中高生への心が生きる「いのち・こころ・からだ」の話を継続
・地域での支援サークル・親子活動・3歳児保育活動等長年主宰し、斜めの関係のつながりと支援を継続。2010年「神奈川県かながわ子育て支援大賞・奨励賞」受賞
・元鎌倉市産科診療所「ティアラかまくら」開院から閉院12年間、外部講師として「こんにちは赤ちゃん」事業、妊娠前講座・思春期講座・大人女性・更年期講座等携わる
・保育者雑誌寄稿等担当/2023年「乳児保育Ⅰ・Ⅱ」豊かな乳児保育をめざして(アイ・ケイ・コーポレーション)分担執筆刊行
・現在湘南WEBサイトaicco【あいっこ】寄稿/「湘南える」新聞にて子育てアドバイス
・株式会社Office Ladybird代表取締役

宗藤純子HP https://junkomuneto.com
MAIL j.officeladybird@gmail.com
子育ての会ベビーぴよぴよ012連絡帳 https://ameblo.jp/piyopiyostaff/

                     

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