動物病院院長、湘南の頼れる獣医師”のっぽ先生”による ペットについての連載コーナー。ペット好きなら知っておきたい獣医学のお話です。
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みなさん、こんにちは!
お元気ですか?
今回は、『ペットの下痢』についてお話してみたいと思います。
前回の『血尿』同様、みなさんが動物病院に来院する理由のランキング上位になります。
下痢は、水分過剰な糞便によって起こるもので、ワンちゃん・ネコちゃんにおける腸疾患などの症状として最も重要なものの一つです。
下痢の特徴は、排便回数、糞便の柔らかさ、便量の増加です。
便がこのような状態になる原因を考えることが、何より大切になります。
原因はいろいろ
原因としては、運動性の亢進、消化・吸収の異常、分泌の異常などがあげられます。
存在する異常状態が重篤な場合(例えば腫瘍を原因とする下痢)や激しく持続する場合には、とても重症度や緊急度が高くなります。
ポイントは、下痢の原因です。
・寄生虫がいる
寄生虫の種類はいくつかあり、駆虫薬もそれぞれ異なります。
必ず検便をして、寄生虫の種類を特定してから駆虫薬を処方してもらいましょう。
子犬では、寄生虫に栄養をとられて成長が悪くなったり、ひどい下痢や嘔吐により命にかかわることもあります。
・食べ物にあたった
イカ、タコ、エビなどは、食べるとひどい下痢をおこすことがあります。
・フードの量が多い
子犬・子猫の場合は身体が小さいので、フードを多くあげてしまいがちです。
下痢にならなくても、軟便が続いていたら、少し減らしてみましょう。
・強いストレスを受けた
一番好きな家族が家を留守にしたり、自分がどこかへ預けられたり、近所で工事をしていて日中大きな音が何時間も聞こえたりなどの原因も考えられます。
この場合、元の環境に戻ればワンちゃんの精神状態が落ち着いて治ることがほとんどです。
しかし、あまりにひどい下痢だったり、環境が戻っても長引いてる時には、治療が必要な場合もあります。
・体質
元気も食欲もあるのに、しょっちゅう下痢をして痩せている。
こういう場合、消化機能の弱い体質かも知れません。
“いつも元気だから病気じゃないだろう”と思わずに、全身的な健康診断や体質改善などの方法を取ることが必要です。
異常のサインを見逃さない
消化器に関する症状は、食べ物という「毎日摂取するもの」にかかわる症状になります。「体重減少」という重度の症状が起こる前に、早めに気づいてあげましょう。
「下痢」は、明らかに見て分かる症状のものですが、飼い主さんの目から見て「日頃と何か違うな?」と感じたのであれば、それは何らかの異常のサインである可能性が高いと思われます。
様子を見ることもひとつの選択ですが、人に換算すると一年で約四歳の年を重ねる動物たちにとって、一日様子を見るということは私たちの四日様子を見ることと同じになります。
早期発見・早期治療が、やはり動物たちにも求められます。
それでは、また…。
Have a わん&にゃんderful day
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■筆者紹介
永田浩之
獣医師
のっぽ動物病院 院長
神奈川県獣医師会湘南支部長
湘南獣医師会副会長
鎌倉市生まれ
神奈川県立七里ガ浜高等学校卒業
北里大学獣医畜産学部獣医学科卒業
北里大学大学院修士課程獣医畜産学専攻修了
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