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【Junko Muneto 私の本棚から】保護者も知ろう!きみがきみらしく生きるために「子どもの権利」㉓

2023.05.27 こどもまんなか こども家庭庁 ユニセフ ゆみせ 人権 子ども 子どもの権利条約 子ども基本法

湘南ママたちから絶大な人気と信頼を誇る、認定子育てアドバイザーの宗藤純子先生がおすすめする絵本のコーナー。
今回は子どもの権利に関する本をご紹介します。

5月5日の「こどもの日」といえば、子どもが元気に育ち、大きくなったことをお祝いする日で端午の節句とよばれています。

しかし、それだけではありません。「こどもの人格を尊重し、こどもの幸福を考える日」でもあることをご存知ですか?

令和5年4月1日、「こども基本法」の施行と、国の行政機関である「こども家庭庁が発足しました。

どちらも若者や子どもにとって、非常に大切なものです。

そして、私たち大人にとっても、「こども基本法」「こども家庭庁」について理解を深めることは、すべての子どもたちの「今」と「未来」に大きく関わるため、非常に重要なことと言えます。

「こどもまんなか」社会を目指す『こども家庭庁』

「こども家庭庁」とは、すべての子どもが、自立した個人として、平等に、健やかで、幸せな状態(Well-being)で成長することができる社会の実現をめざしています。そして子どもや子育て当事者の視点に立った政策立案や、子どもや家庭の抱えるさまざまな課題に対する包括的支援を行うことを目的としています。

また、こども家庭庁のスローガンは「こどもまんなか」です。

こども、若者一人ひとりの意見を聴いてその声をまんなかに置き、こどもや若者にとって、最もよいことは何かを考えて、政策に反映していくとし、こどもや子育てしている人たちの困っていることに向き合い、いざというときに守るための仕組みをつくります。

こども・若者がぶつかるさまざまな課題を解決し、大人が中心になって作ってきた社会を「こどもまんなか」社会へと作り変えていくための司令塔が「こども家庭庁」です。
※ここでの「こども」とは、年齢にかかわらず、「大人として円滑な社会生活を送ることができるようになるまでの心身の発達の過程にあるもの」と定められています。

■小倉こども政策担当大臣からのビデオメッセージ こども・若者のみなさんへ

こどもの権利を守る『こども基本法』

こども基本法は、こども施策を社会全体で総合的かつ強力に推進していくための包括的な基本法として、施行されました。
少子化が進み子どもの総数が減少している日本ですが、児童虐待通報は急増し、いじめ、自殺、不登校の深刻化など、子どもが生きづらい世の中になっています。

それにもかかわらず、日本にはあらゆる場面で子どもの権利が守られるべきと定める法律がありません。

つまり日本では子どもの権利が守られているとは言いがたい現状なのです。

こども基本法について|こども基本法WEBサイト (kodomokihonhou.jp)より

■こども基本法やさしい版パンフレットこちら

親子で学びたい「こどもの権利」

世界の動きはどうでしょうか。

「世界中の子どもが幸せに育っていけるように」という願いをこめて、国連(国際連合)がつくったのが、「子どもの権利条約」(ユニセフ協会)です。「子どもの権利条約」は、子どもの基本的人権を国際的に保障するために定められました。18歳未満の子どもを「権利をもつ主体」と位置づけ、大人と同じ一人の人間としての人権を認め、成長の過程で特別な保護や配慮が必要な権利も定めています。

「子どもの権利条約」には、4つの原則があります。この4つの原則は、「こども基本法」(2023年4月施行)にも取り入れられています。

 

1.命を守られ成長できること すべての子どもの命が守られ、もって生まれた能力を十分に伸ばして成長できるよう、医療、教育、生活への支援などを受けることが保障されます。

2.子どもにとって最もよいこと(子どもの最善の利益):子どもに関することが決められ、行われる時は、「その子どもにとって最もよいことは何か」を第一に考えます

3.意見を表明し参加できること(子どもの意見の尊重) :子どもは自分に関係のある事柄について自由に意見を表すことができ、おとなはその意見を子どもの発達に応じて十分に考慮します。

4.差別のないこと(差別の禁止):すべての子どもは、子ども自身や親の人種や国籍、性、意見、障がい、経済状況などどんな理由でも差別されず、条約の定めるすべての権利が保障されます。
(参考引用:ユニセフ)

*

この条約の定める権利には、大きく分けると以下のようなものがあります。

 

■生きる権利 ■育つ権利 ■守られる権利 ■参加する権利

*

ユニセフは、より多くの人々に「子どもの権利条約」の内容や重要性を知って子どもの権利について考えてもらえるように、各条文のアイコンを一覧にしたポスターを制作しました。とてもわかりやすいですね。

しかし、日本が子どもの権利条約に批准してから約30年経っているのにもかかわらず、「子どもの権利」は十分に守られているとは言えないどころか、知らない大人も多いのが現状です。
例えば、2019年にセーブ・ザ・チルドレンの調査で、日本国内で同条約を「内容までよく知っている」と答えたのは、子ども8.9%、大人2.2%。「聞いたことがない」という回答は、子ども31.5%、大人42.9%にものぼりました。保育や教育の専門職の方々も、「子どもの権利」を認識していないという状況です。

また、国立成育医療研究センターの「子どもの権利」に関するWEB調査アンケ―ト(2022年1月20日~2022年3月31日)結果では、Q1「国連・子どもの権利条約」に関して知っている?の問いに、小学生の50%以上が「知らない」と回答し、中学生以上も「国連・子どもの権利条約」について知っている者が50%以下であり、聞いたことはあるがどんなものかは知らないという回答が、40%程度でした。

これは保護者も同様ではないかと思います。

さらにQ3.日本社会は子どもの意見を尊重していると思いますか?の問いに対しては、子どもたちは年齢が上がるにつれて、現在の日本社会が子どもたちの意見を尊重していないと感じていて、特に中学生、高校生でその割合が高い結果がでています。

子ども達自身もわれわれ大人も、どちらも知ってこそ使えるのがこの権利です。

小学生から読める本をご紹介しますので、ぜひ読んでみてはいかがでしょう。

子どもの権利がわかるおすすめの本

きみがきみらしく生きるための「子どもの権利」

監修:甲斐田万智子 絵:林ユミ 出版社:KADOKAWA

小学生から知っておきたい、きみたち自身の「権利」のこと。
学校に行きたくない、家にいるのがつらい、意見を言いたい、ありのままでいたい…… どんな時にも力になる!
2023年4月にこども家庭庁が発足し、こども基本法が施行されるなど、「子どもの権利」がいま大きな注目を集めています。ですが、「子どもの権利」とはいったいなんなのか、それがどんなふうに子ども自身に、そしてすべての大人たちに関係しているのか、知らない人が多いのではないでしょうか。
本書は「子どもの権利条約」の条文の内容をイラスト入りでわかりやすく解説すると同時に、困ったときの相談窓口情報や、SDGsとの関係、子どもの権利のための様々な取り組みやデータなども紹介した、小学生から学んで使える「子どもの権利」の入門書です。全ページカラーでイラストもたくさん入っており、総ルビのため、小学校中高学年からひとりで読むこともできます。子どもはもちろん、子どもに関わる全ての大人にも読んでほしい1冊です。(出版社より)

子どもによる子どものための「子どもの権利条約」

小口尚子・福岡鮎美 出版社:小学館

国連「子どもの権利条約」の政府訳はあまりに難解で子どもも大人もお手上げです。この作品は中学生自身が条約を自分のものとして受けとめ、普段の言葉を使って子どもにわかるよう見事に中身を伝えるものです。
アムネスティ・インターナショナル日本支部主催「子どもの権利条約翻訳・創作コンテスト」最優秀賞
【目次】何歳まで“子ども”なの?
だから、差別なんかだめなんだってば
子どもにいちばんの幸せを、ね
で、国がしなきゃいけないことなんだけど
教えてほしいこと
いのちのこと
名まえがほしい。国の人になりたい
たとえば、ぼくがぼくであること
お父さんお母さんとは、いっしょにくらしたいんだ
で、親に会いたいとき〔ほか〕
(出版社より)

子どもの権利条約を子どもたちが参加し、子どもたちとともに制定した川崎市。施行して20周年にこの本が出版されました。

川崎市子どもの権利条約施行20周年記念出版「今だから明かす条例制定秘話」

編集:かわさきこどもの権利フォーラム 発行協力:川崎教育文化研究所 出版社:エイデル研究所
【この本に登場する人びと:山田雅太、西野博之、喜多明人、内田塔子、朏島和哉、金井康平、重住奈津帆、圓谷雪絵、荒牧重人、小宮山健治、金井則夫、保科達夫、三ツ木純子】

「川崎市子どもの権利条例」施行から20年。子どもたちがなぜ条例制定に関わり、どのように「権利=わがまま論」と対峙したのか。「川崎市子ども夢パーク」「公設民営のフリースペースえん」の誕生秘話。市長交代の際、どのように行政職員が対応し、子どもの権利条例を未来へつなげていったのか。今だから明かせる条例制定秘話が満載。自治体関係者や「子どもの権利」に関心をもつすべての方必見の書。
【目次】
Ⅰ 子どもと語る子どもの権利条例制定秘話
Ⅱ 子ども夢パーク・フリースペースえんの誕生秘話
Ⅲ 全国初の子どもの権利条例はなぜ生まれたのか
Ⅳ 子どもの権利と支援の仕組みはどう創られたのか
─子どもの権利の普及・啓発、参加、相談・救済、行動計画、検証を中心に─
資料1 川崎市子どもの権利に関する条例 全文
資料2 かわさき子どもの権利フォーラム設立趣意書
資料3 川崎市の「子ども参加」の歴史(年表)
(出版社より)

 

日本財団がWEB【こども1万人意識調査結果10歳~18歳のこどもに聞いた、国内最大規模の調査】の調査抜粋

まわりのこどもの権利、守られていないものTOP3
・こどもは自分に関することについて自由に意見を言うことができ、大人はそれを尊重する 11.9%
・こどもはどんな理由でも差別されない 11.3%
・こどもは教育を受ける権利がある 10.8%
こどもの権利を守るためにあるとよい仕組みTOP3
・こどもにこどもの権利について、もっと学校で教える 29.5%
・こどもが困ったことや大人に伝えたいことを、伝えるサポートをしてくれる人がいる 27.7%
・困ったときに電話、SNS、メールなどで相談できるところがある 26.5%
国や社会がこどもたちのために優先的に取り組むべきこと(選択肢)
・高校・大学までの教育を無料で受けられること 40.3%
・いじめのない社会を作ること 36.7%
・本当に困っているこどもの声にしっかり耳を傾けること 30.6%

子どもたちの声や意見に耳を傾けられる大人や、子ども達の想いや考えに気付ける大人がそばにいることは、日常生活や社会環境に安心安全をもたらします。

かつで子どもだった大人たちが、今を生きる子ども達の「困った」に寄り添っていけますように

大人もしんどい時があります。以下は厚生労働省の【親子のための相談LINE】です
子育てや親子関係について悩んだときに、子ども(18歳未満)とその保護者の方などが相談できる窓口です。
・匿名(LINE上のアイコンとニックネーム)でも相談ができます。
・相談内容の秘密は守られます。ひとりで悩まずに……

子育てで悩んだ時にLINEで相談できます!

 

ーーー筆者紹介ーーー 宗藤純子(むねとうじゅんこ)

藤沢市在住30年。都内私立幼稚園教諭・主任9年を経て保育士・認定子育てアドバイザーとして乳幼児期から思春期までのこども・家庭教育・支援に約25年以上従事。親子ふれあい遊びや絵本通じて肌と心へのタッチ、子どもはひとりの人であることを伝え続ける。

地域での子育ち親育ち支援サークルと母親のエンパワーによる親子活動・3歳児保育活動等長年主宰し、切れめないつながりと支援を継続。2010年「神奈川県かながわ子育て支援大賞・奨励賞」授与。

・鎌倉市産科診療所「ティアラかまくら」開設当初より閉院まで12年間、外部講師として「こんにちは赤ちゃん」事業、産前産後から思春期。女性・更年期講座等携わる

・「子育ては個(性)育て。己育て」人間教育を軸に行政・PTA家庭教育・子育て支援者向け講演、教育現場・思春期講座等で、保護者向け勉強会など講演講座も多岐にわたり多数。
幼小中学生、年齢に応じた「いのち・こころ・からだ」を子ども達に伝え、対話を継続中

・保育者向け雑誌「POT」あそびパーク012寄稿担当や保育・教育を学ぶ短大大学で客員講師として講演。2019年度より非常勤講師として帝京短期大学『乳児保育』担当。

・株式会社OfficeLadybird代表取締役

◆Web サイト:http://junkomuneto.com

連絡先:omopiyo.love@gmail.com

◆子育ての会ベビーぴよぴよ012連絡帳

 

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